子どもの頃、私は〝アリババと40人と盗賊〟のおはなしが大好きでした。〝ひらけごま〟というヘンテコリンな響きの不思議な呪文。ストーリーの中によく出てくるピカピカの金貨。そしておはなしの後半に登場するアリババの召使、賢い娘のモルジアナ(※この絵本ではマルジャーナとなっています)にとても憧れて、母のスカーフをベールのようにかぶり、朝早くお薬を買いに行く彼女の真似をしてみたり、自宅の玄関ドアに赤いチョークで〇を付けて、父にこっぴどく怒られたりしていた子どもでした。
ちょうどそれと同じ頃です。ある日偶然見ていたテレビ番組でイギリスのマジシャンの自宅が取材放送されていていました。その時日本人の女性アナウンサーがその家の書斎で『オープン・セサミ!!』と呪文を唱えたんです。すると彼女の後ろにあった大きな本棚の一部が魔法の扉のように開いて、マジックのお部屋につながっていくという映像が流れてきました。その番組を見て『私もここに行ってみたい!!』とテレビに釘付けになった記憶があります。
この時〝オープンセサミ〟という言葉が〝ひらけごま〟という意味だったという事を知り、このフレーズを聞くと、あの時見た大きな本棚の扉が開く映像と、知らない世界へ旅に出かけて行くようなドキドキワクワクしたキモチを思い出すようになりました。
おはなしの国の世界へ入っていくのにもぴったりな魔法の呪文。私の中での特別な言葉。
絵本についてブログを立ち上げた時はサイト名は『これしかない!!』と即決めしました。ですから、家庭文庫の名前もお店の名前もそのまま〝Open Sesame〟なんです。
これからも、こんなちょっとしたきっかけを体験をして、本を読むことやおはなしが好きになる子ども達が増えてくれたらいいなと思っています。
今回アップした〝アリババと40人の盗賊〟の作者はイランの絵本作家ナルゲス・モハンマディさん。煌びやかすぎず、昔のアラブの人々の日常生活の色や乾いた砂漠の風土のイメージがしっかり伝わってくる作品です。個人的に日本の昔話をたくさん手掛けた〝赤羽末吉〟さんの画風の世界観と重なりました。ぜひご覧になってみてくださいね!!
アリババと40人の盗賊~アラビアンナイトより~
ナルゲス・モハンマディ 絵
愛甲惠子 再話
ほるぷ出版
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